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そろそろ、インフルエンザの時期です。 もう患者さんがちらほらでているという情報がまわってきました。 私は昨日予防接種を受けたところです。 今年は2回受ける予定です。 さて、近年話題のインフルエンザ治療薬タミフル。 “異常行動”についての情報が行き交っていますが、厚生労働省からの発表にはあまり変化がありません。 その原因が定かではないため、安易な対策が立てられずにいるのでしょうが薬剤師としては対応に困るところです。 -前置き- インフルエンザと診断された患者さんで、特に1~4歳のお子様の場合、それだけで死亡率が高いことがあげられます。厚生労働省実施平成10年の人口動態による死亡原因の第6位と位置づけられています。 日本でインフルエンザ脳症の子供は一年で100~300人に達し、そのうち15~30%が亡くなり、乗り越えても25%の子が後遺症を残します。 そして、死亡や後遺症とまではいかないまでも、インフルエンザウィルスを除去するために働いた免疫系が、脳浮腫や神経細胞の障害をひき起こし、意識障害や痙攣などの体験をします。 このような症状が起こる可能性は1歳~6歳までに徐々に減少して、11~15歳で再び上昇します。 発生時期は発熱開始から翌日が高頻度です。 このことを踏まえて、近年報告された“タミフルによる異常行動死”などの見出しを見ます。すると、それ自体がタミフルではなくインフルエンザが原因の症状なのではないかと感じるのです。 また、“平成18年末までに、タミフルを服用した16歳以下の小児16例(治験時の1例を含む。)の死亡が報告されている”のように、発生例が全タミフル服用者数と比べて少なすぎる。 《平成17年度第1回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(平成18年1月27日開催)参考資料4-4》 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/01/dl/s0127-9d04.pdf(PDF:346KB) これは、現在ではさらに報告数が増えています、その関係はいまのところ統計学的に否定されています。 また、タミフル発売前(平成13年2月以前)にもこのような“突然死または異常行動”が報告されてきたことからも、“突然死または異常行動”を直接結びつけることは難しいでしょう。 《平成11年6月25日付け「インフルエンザの臨床経過中に発生した脳炎・脳症について」》 http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1106/h0625-2_11.html 現段階では、タミフルが決定的な“突然死または異常行動”の原因であるとは考えにくいですが、今期もマスコミによる煽りは予想できます。 ---------- 偏った情報が入ってきてしまう患者さんに対し、一方的に「心配なら飲まないで」などとは言えません。メジャーなインフルンザですが、なんせその重篤な症状はただの風邪とは比べられず、時に命を失うのですから。 だからといって、「飲まないと治りません」とも言えません。 私が思うに、薬剤師がすべき対策は 1、インフルエンザとタミフルの情報を可能な限り正確に伝える。 2、伝えた後にタミフルを服用する利点と副作用を伝えつつ、現在マスコミで騒がれている情報を踏まえ、患者さんの不安な要因を聞き出し受け止めた後に、その対策を相互に話し合いの中でたてていく。 *タミフルを服用した患者数と、タミフルを服用して異常行動を起こした患者数を比較して伝えてあげると納得してもらいやすい。 *タミフル服用の有無にかかわらず、インフルエンザに罹った時点で家族が目を放すべきではないことを伝える。流行しすぎて、その重篤度に関する認識が鈍っているため、インフルエンザ自体が命にかかわる流行性疾患であることを再認識すべきである。 これらのことを一方的にならないように、投薬時の会話の中で伝えていくのが薬剤師の役割であると思います。 また、ただでさえものすごく忙しい冬の時期で、投薬時間を短縮したい気持ちもあるとは思います。しかし、マスコミ煽られ興奮した患者さんに、一方的な投薬をしてその場でクレームを起こしてしまうよりも、よっぽど時間的ロスも減り、患者さんのためになります。 ただ、“タミフルは危険”というような世論と対決するような場面もありますので、投薬前のイメージトレーニングはとても大切になるでしょう。 最後に、今後タミフル以外にも“突然死・異常行動”が起これば、吸入薬であるリレンザでもマスコミに叩かれることが予想されます。 薬情の注意欄への記載も事前に注意し、適切で簡潔な説明や無意味な危機感を患者さまに与えないように、流行が本格化するまえに備えていきたいですね。 【参考】 インフルエンザ治療に携わる医療関係者の皆様へ(インフルエンザ治療開始後の注意事項についてのお願い)平成19年2月28日厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/02/h0228-3.html インフルエンザ脳症の手引きPDF http://www.chiisanainochi.org/contents/influenza/downloads/tebiki.pdf PR 【つぶやき】
呼吸器組織への移行率が高いことから、気管支や副鼻腔疾患に対して頻繁に用いられる。 妊婦、授乳婦、小児には使えない。 不整脈薬を服用中の患者にも使えないので、お薬手帳や併用薬の確認は徹底。 リスモダン、アミサリン、アンカロン、ソタロールなど。 気管支炎で健康そうな成人ならば割と安易に処方されそうなので併用薬に気をつけよう。 副鼻腔炎はマクロライド系抗生物質が、抗菌作用ではなく、慢性副鼻腔炎への抗炎症作用を期待されて処方されていました。 ですので、その時は抗菌効力を示す用量ではなく、その半量で2週間以上の長期処方で投薬をする場面があると思います。 しかし、アベロックスは副鼻腔への移行性が他抗生物質と比べ高く、抗菌作用として副鼻腔炎の治療に使われます。この点がこれまでの抗生物質と副鼻腔炎治療において異なることでしょう。 また、3日で95%の菌消失率をあげられているので、そこも利点でしょう。 ここで、強い抗菌作用という言葉を強いから危険、副作用も強いと患者さんに思われてしまうと、思わぬアンコンプライアンスの原因になります。投薬時には強いという言葉を置き換える必要を感じます。 副作用に関しては、発現率が25.7%と発表されています。 「高い!」と感じられる方も多いと思いますが、これは集計方法が1995年3月20日厚生省薬務局審査課長 薬審第227号の通知に則り行われているからのようです。 具体的には以下を参照してください。 薬剤と「因果関係がある」と判定されたもののみカウント 副作用と臨床検査値の異常を別に集計 ↓ 1995年3月20日以降 ↓ 薬剤と「因果関係がない」と判定されたもの以外はすべてカウント 副作用と臨床検査値の異常を合わせて集計 【名称】 アベロックス(Avelox 塩酸モキシフロキサシン 劇薬 指定医薬品 処方箋医薬品) 【系統】 ニューキノロン系経口抗菌剤 【発売・製造販売元】 塩野義製薬株式会社・バイエル薬品株式会社 【規格】 400mg PTP50錠(5x10)、PTP100錠(5x20) 【禁忌】 肝障害、QT延長、低カリウム血症患者 クラスⅠa(キニジン、プロカインアミド等)、クラスⅢ(アミオダロン、ソタロール等)を投与中の患者 妊婦(臨床試験データなし。サルで流産。催奇形性の動物実験では優位差無し。) 乳汁移行あり。 小児(臨床試験データなし。) 【特徴】 呼吸器感染症の主要原因菌に対して強い抗菌力を持つ。 1日1回投与で大きなAUCが得られ、呼吸器組織への移行にもすぐれる。 耐性菌出現頻度が低く、耐性化はきしにくい。(in vitro) 主な副作用(25.7%)は、下痢(4.8%)、肝機能検査異常(4.4%)、悪心(3.6%)等であった。 吸湿性は該当資料無し。 皮膚科領域感染症に対して、一次選択薬としての使用は避けること。 【用法・用量】 1回400mg 1日1回 感冒、二次感染予防、皮膚科領域では7日間以内、肺炎および副鼻腔炎には10日間 40kg未満の患者や高齢者には200mgで投与。 【参考】 医薬品インタビューフォーム 2006.12(改訂第5版) 塩野義製薬・バイエル薬品資料「アベロックス錠400mg」 AVX-D-3(D2)2007年7月作成 資料請求先→塩野義製薬医薬情報センター0120-956-734 | カレンダー
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